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本市が古希を迎えた10月10日の朝、玄関を出ると、青く澄んだ秋空の下、爽やかな風と共に、微かに、金木犀の香りが漂ってきました。
モクセイは昭和48年、市民投票により選ばれた行橋市の木です。一年中まちを緑で包み、毎年 本市の誕生日を祝うかのように、良い香りを漂わせ、美しい花を咲かせるモクセイ。そんなモクセイを愛でながら、私は改めて、過去から現在に至るまで、市民の皆様お一人おひとりがいなければ、今の行橋市は存在し得なかったことを再認識しました。そして、私の中に、とてつもなく大きな「ありがたい」という気持ちが湧き起こってきました。この感謝の心と大きな夢を持って、未来への歴史を紡いでいくことを誓った次第です。
行橋市は、昭和29年10月10日、行橋町、蓑島村、今元村、仲津村、泉村、今川村、稗田村、延永村、椿市村の1町8村が合併して誕生しました。行橋市の花、コスモスは、この1町8村をコスモスの芯と 8つの花びらであらわしたものです。毎年 行橋市が誕生日を迎える秋に、力強く花を咲かせてくれます。
市制施行当時、約44,000人であった人口は、現在約72,000人となりました。行橋市があるこの地域は古くからミヤコと呼ばれ、それぞれの地域の歴史・伝統・文化とともに繁栄してきましたが、近年は、自動車産業を中心に全国的にも有数の工業集積地となった九州北東部地域に位置する都市として、京築2市5町で協力し、また切磋琢磨しながら発展を遂げてまいりました。本市が現在のように発展できたのは、諸先輩方の先見の明とご尽力、関係する国・県・各自治体や企業・団体などの皆様のご指導ご支援、そして、今日まで連綿と続いてきた市民の皆様の「営み」があったからです。ここに、全ての皆様に深く敬意を表し、厚く、感謝を申し上げます。
私たちは今、戦争や紛争、地球温暖化、世界規模での人口増加、災害の激甚化、人獣共通感染症、情報革命や国際化の進展、全国各地で起こる少子高齢化や公共施設・公共インフラの老朽化など、さまざまな問題に直面しています。しかし、私たちは確実に、前に進んでいることを忘れてはなりません。この地域では、北九州空港の滑走路延伸、東九州自動車道及び国道201号の4車線化などの社会基盤整備が着実に進み、本市においても、ICT教育や子育て環境のさらなる充実など、次代を見据えた事業が進展しています。また、本年5月には、長年の懸案事項でありました水の安定供給に向け、北九州市、苅田町と水道用水供給基本協定を締結しました。
市制施行70周年は歴史を振り返り、未来につなげる節目の年。市民の皆様が主人公のまちづくりをめざし、「協力して創る」という想いを込めて、メインテーマを『協創』といたしました。
これからも『協創』によって、まちを担う自負心、即ちシビックプライドを醸成し、全ての市民の皆様のウェルビーイングの実現をめざすとともに、次代を担う子どもたちや子育て世代にしっかりと投資をしていくことで、持続可能なまちづくりを推進して行くことをお誓い申し上げます。
結びに、本市に関係する全ての皆様、そして市民の皆様に心から感謝の意を表し、ますますのご健勝ご多幸を祈念申しあげ、行橋市制施行70周年を迎えてのあいさつといたします。
令和6年10月10日
行橋市長 工藤政宏